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【放射線】半価層と半減期の違いとは?

放射線に関わる、用語として半価層と半減期というのがあります。

この二つは言葉自体も、何かの半分を表す言葉と言う意味も似ているところがあるので、混乱される方もいるのではないでしょうか。

そこで、今回は半価層と半減期の違いについてまとめてみたいと思います。

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半価層とは?

とりあえず、半価層とはなにか?

 

そこから、始めてみましょう。

 

X線やγ線は物質を通過する能力を持っています。そのため、人で言えば骨を、空港の荷物検査では、バックの中身を開けることなく観察することができるのです。

 

ただ、X線やγ線と呼ばれる放射線は、物質を通過する前と後では、その量に変化が生じています。

 

どのような変化かというと、量の減少です!!

 

放射線は、物質を通過する時に吸収されたり、散乱されたりすることで、そのたびに元の放射線の量から減少の一途をたどっているのです。

 

量を減らし続けた放射線は、物質の厚さが厚くなるにつれて、吸収や散乱をする機会が増加することになり、いつかは通過すらできずに0になることになるのですが、その前に元の放射線量から半分に減るときがあります。

 

ここが、半価層です。

 

つまり、半価層とは、放射線の量が半分になる減る場合の物質の厚さをことをいいます。

 

単位は、ミリメートル(㎜)、センチメートル(㎝)やメートル(m)といった小学校から慣れ親しんだものです。

 

半価層は、放射線から身を守るための遮へい材の遮へい能力または、X線やγ線の線質を表すのに使われる指標です。X線やγ線の線質が常に一定であれば、半価層の値が小さくなるほど、遮へい材の遮へい能力は高いことになります。

 

逆に、遮へい材の厚みが一定であれば、半価層の値が小さくなるほど、透過力、つまりエネルギーの低いX線やγ線が照射されたことになります。

 

これは、電子線など粒子線も同様ですが、少し使用する言葉が異なり、エネルギー束密度が半分になる厚さを指すことになります。

 

ちなみに、

 

半価層の厚さ=0.693/μ (μは単位長さあたりの吸収係数)

 

で求まります。

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半減期とは?

一方、半減期とはなんでしょうか?

 

半減期は、放射性核種と呼ばれる、放射線を発する物質に使用される言葉です。放射性核種は、自然に放射線を出して壊れて、他の物質へと変化していきます。

 

これを放射性崩壊というのですが、崩壊が起こると、元々あった放射性核種はその量を減らしていくことになります。

 

そして、放射性核種が崩壊によって量が半分となるのにかかる時間を半減期といいます。半価層は、物質の厚さという距離を表す言葉でしたが、半減期は、時間を表す言葉なのです。

 

なので、全然異なるものを表しているのです。

 

放射性核種による半減期は、それぞれ固有の長さを有しており、その長さがわかれば、その物質が何なのかわかるほどです。数秒単位のもあれば、何億年という時間をかけて崩壊をし、半減期を迎える核種が存在するくらいです。

 

半減期で注意することは、半減期迎えるたびに現存する量の半分になるということです。

 

どういうことかというと、

 

半減期の1倍、2倍、3倍、・・・10倍の時間が経過したとすると、それぞれ最初の量の1/2,1/4,1/8,・・・1/1024と指数関数的に減少します。

 

これを式で表すと、半減期の時間(T)は、崩壊定数(λ)との間に

出典:www.ies.or.jp-

まとめると・・・

  半価層 半減期
放射線の量が半分になる時の 物質の厚さ(cm、mなど) 時間(秒、分、時間など)
値が表すもの ・遮へい材の遮へい能力
・放射線の線質
・放射性核種
固有の長さをもつため、半減期が求まれば、物質が何かがわかる
0.693/μ (μは単位長さあたりの吸収係数) (ln2)/λ
=0.69315/λ
λ:崩壊定数