脂肪肝は放射線画像では?その見え方とは・・・?

肝臓に脂肪がたまりフォアグラ状態になる脂肪肝。

今や日本人の4人に1人が脂肪肝になると言われているほど、身近な病気です。

さらに、脂肪肝になると、肝硬変や肝臓がんへ進行する恐れがあるばかりか、様々な生活習慣病へのリスクが高まるため、油断なりません。

そこで、脂肪肝とはなぜなるのかから超音波検査やCTなどの検査ではどのように見えているのかなど、まとめてみました。

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なぜ脂肪肝になるの?

そもそも脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪がたまる病気です。

 

その原因となるのが、食べ過ぎ、飲みすぎ、運動不足、肥満、ダイエットなどです。

 

どういうことかというと。

 

食事で摂った脂質は、小腸で消化され肝臓で脂肪酸に分解されます。そして、糖質はブドウ糖に分解されて小腸で吸収された後、肝臓で中性脂肪に変化します。

 

摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが取られているなら問題になることはありません。

 

が、しかし、脂質や糖質の摂りすぎ(食べ過ぎ)のうえさらに、運動不足の場合となると、エネルギーとして使いきれなかった脂肪酸や糖質が肝臓に中性脂肪となって蓄積されてしまうのです。

 

お酒の飲みすぎも注意が必要です。アルコールの分解は 肝臓で行われますが、その時、中性脂肪が合成されやすくなり、結果として脂肪肝への道を歩むことになります。

 

また、肥満になると、肝臓での脂肪酸の燃焼が悪くなる傾向があります。そうすると、消費できない脂肪酸が中性脂肪となって肝臓に溜まることになります。

 

さらに、極端な食事制限など無理なダイエットをした人も【低栄養性脂肪肝】と呼ばれる脂肪肝になり、やせるつもりが肝臓は肥満といった悪影響を及ぼしてしまうのです。

 

 

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お酒を飲まない人でも・・・

なり得るのが脂肪肝です。

 

飲みすぎではなく、食べ過ぎによる脂肪肝のことを、非アルコール性脂肪肝と呼ばれます。

 

非アルコール性脂肪肝には、単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎と呼ばれる2種類があとあり、単純性脂肪肝は症状も軽く、改善しやすいのが特徴です。

 

一方、非アルコール性脂肪肝炎は肝硬変や肝臓がんなどに進行することが知られているので注意が必要です。

どんな症状がでるの?

脂肪肝になっても痛みなどの自覚症状がでることはありません。

 

なので、気がついたら脂肪肝になってたという人も多いのではないでしょうか?!

 

ただ、脂肪肝になると「ドロドロな血」と言われる状態になるため、血流が悪くなります。

 

血流が悪くなると、全身の細胞に栄養や酸素が供給されにくくなり、疲れやすい、だるい、頭がボーっとするなどの症状が出てくるばかりか心筋梗塞などの重度の病気のリスクも高くなります。

 

思い当たる方は、一度血液検査を受けてみるのもいいかもしれません。

 

そして、肝機能を表すALT(GTP)を見るのが一番です。
基準値は30(IU/L)以下ですが、20(IU/L)以上であれば脂肪肝予備軍です。

画像検査ではどうやって見えるの?

脂肪肝は超音波検査やCTでは、一目見ればわかるといえるほど、簡単な所見といえるでしょう。

 

上の復習になりますが、脂肪肝は肝臓に中性脂肪が溜まった状態です。

 

肝臓なのに脂肪の要素を含んでいるということです。

 

そしてこれは、とても特徴的な所見となって現れるのです。

 

では、どんな所見となって現れるのでしょうか?

・超音波検査の場合

最初に正常な肝臓の超音波画像を紹介します。

 

これに対する脂肪肝の画像の主な特徴は4つです。

➀高輝度な肝実質
超音波検査では、肥満体の人ほど、エコー信号が届きにくく検査がしにくいです。これは、脂肪が音波を伝えにくいということでもあります。
なので、脂肪肝の場合、肝細胞内への多数の脂肪が反射体なってしまいます。(体の深部までエコーが届きにくい)このため、肝実質に高エコースポットが増加して肝実質全体が高輝度となって観察されるのです。

➁肝腎コントラスト
肝臓と右腎を同一画面そして同一深さに表示してエコーレベル(両者の濃度差)の相違を見る「肝腎コントラスト」という評価法があります。正常であれば、肝臓と腎臓のコントラストはほぼ同程度に観察されますが、肝臓への脂肪沈着があきらかな場合、エコーレベルの差が肝腎コントラスト陽性(肝臓のほうが白く見える)となり,脂肪肝をみていくうえで重要な所見となるのです。

➂肝内脈管の不明瞭化
肝臓を観察すると、肝静脈や門脈などが描出されます。正常であればこれらの脈管は肝実質との境界がはっきりしているのですが、脂肪肝になると肝静脈,門脈の壁および内腔が不鮮明になりやすくなります。

➃肝深部のエコー減衰
肝臓に脂肪の多く存在すると、超音波の散乱が大きくなり、肝の浅い部分では実質が高エコー(白く見える)となるが,深い部分ではエコーの減衰がみられ、浅い部分に比べて暗く、不鮮明に観察されるのです。

・CT検査の場合

超音波検査では、脂肪によってエコーの散乱が起こりやすいことで、肝臓が高輝度に観察されていました。

が、CT検査では逆になります。

正常な肝臓に比べて、脂肪肝はX線の吸収が少ないため、低濃度になって観察されます。
黒く見えるのです。

もちろん明確にどれくらい黒く見えると脂肪肝なのか?!という基準もあります。

それは、脾臓や肝臓内の血管よりも肝実質(肝臓自体)のほうが黒かったら脂肪肝!!

といった感じです。

実際の画像を見てみましょう。

右は正常、左が脂肪肝のCT画像です。

右の肝臓に比べて、左の画像の肝臓のほうが黒く見えるのがわかるでしょうか。

また、左側の画像だけで見た時に、脾臓に比べて、肝臓が黒くなってみえているのがわかるでしょうか。

これは、みんな肝臓に蓄積されて中性脂肪が原因で起こっているのです。

画像でみると、余計に危機感を感じるかもしれませんが、意外と見かける機会が多いです。

一度、例を見ると、誰でも次からはわかる範囲の所見なので、覚えておいてもいいかもしれません。

予防と改善には?

脂肪肝の予防と治療には、原因と行動を改善するのが一番です。

・食事

この場合、減らすのは脂っこいものではなく、糖質です。
日常的に糖質を摂り過ぎていると、脂肪肝になりやすいのです。
特に果物の果糖は吸収がよく、肝臓で中性脂肪になりやすいですし、ごはん、パン、麺類にも注意が必要です。

 

また、食べる順番も重要のようです。

 

食事のとき、血糖値が急上昇すると、血糖値を下げるインスリンが大量に分泌されます。インスリンは余った糖を中性脂肪として蓄える役割もするため、血糖値を急激に上げないことが大切です。
野菜→肉・魚→ごはんの順番に食べ、血糖値をゆっくり上げることで、インスリンの分泌が抑えられ、余分な中性脂肪が肝臓に蓄えられることも予防できるようです。

 

・飲み物

アルコールも脂肪肝の原因になりますが、緑茶が脂肪肝の予防に良いと言われています。

緑茶に含まれるカテキンが、肝臓で発生する活性酸素を消去し、メダボリック症候群の予防にも脂肪肝の予防にもいいようです。

非アルコール性脂肪肝はストレスや喫煙、紫外線による活性酸素が原因になるため、緑茶を飲んでゆっくりとノーストレスの日々を過ごしてはいかがでしょうか。

・運動

脂肪は筋肉によって燃焼されます。つまり、脂肪肝の改善には筋肉を付けることが大切なのです。
運動嫌いでも続けられる範囲で、毎日、駅まで歩くやTVを片足たちでみるなど、自分なりに考えてみてもいいかもしれません。

忘れてはならないのは、無理なダイエットは逆効果だということです。脂肪肝の改善のために脂肪肝の原因となる行動をしてしまうと、せっかくの努力も成果がでにくくなってしまいます。