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頭部MRIの国家試験対策をしよう!!

脳梗塞の診断をはじめとする、頭部MRI検査の需要が高まっており、今では欠かせないものとなっています。それに伴い、国家試験でも頭部MRIに関する問題が多く見られます。

 

なので、画像解剖を始め、代表的な疾患くらいはわかるようにしておいたほうがいいでしょう。診療放射線技師国家試験問題を元にまとめてみました。

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頭部MRIの画像解剖

頭部MRI問題で多いのは画像解剖問題!!色々な解剖学の本で見ているかもしれませんが、とにかく事あるごとに解剖の問題が出題されるので、もう一度復習しましょう。

 

ここでは、国家試験に出題された解剖について触れますが、他にも無料で解剖の勉強ができるサイトやツール、動画などがあるので紹介いたします。画像解剖に関しては、覚えるしかないので、自分に合ったツールを使うことをお勧めします。

・https://遠隔画像診断.jp/archives/15938

・CT・MRI断面図ウォーカー

・脳の断面解剖学

 

断層像の解剖も重要ですが、頭の3D血管の解剖(MRA画像)も重要です!!ぜひ、押さえてください。

 

解剖を覚えるのはめんどうかもしれませんが、覚えれば確実に点数を稼げますし、病院で働くことになっても重要になってくるので、めんどくさがらずに頑張るしかありません。

 

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シーケンス名と画像を一致させよう!!

MRI画像は一度の検査で、コントラストの違う画像を何種類も撮影します。どのシーケンスで撮影されたものなのかは、最低限知らないと画像問題に困ることもあるので、基本のものだけでも簡単に確認しておきましょう。

T2強調画像

T2強調画像の特徴は、水分が白く、脂肪が黒く写って見えることです。また、白質が暗くみえます。

脳における水分と言えば、脳室の脳脊髄液になります。なので、脳室が白く写っていれば、T2強調画像となります。水分が多く含まれる、脳浮腫など病変がわかりやすく描出できます。

T1強調画像

T1強調画像は基本的にはT2強調画像とは逆の濃度で表現されています。脳室が黒く、白質が白い。コントラストがはっきりとしているので、解剖学的な構造がわかりやすいです。

FLAIR

少しややこしいのですが、FLAIRはT2強調画像です!!T2画像の水を黒くしたのがFLAIR画像になります。

 

でも、脳室が黒いからT1なのでは?と思われるかもしれませんが、その他の組織はT2強調画像と同じコントラストなのです。なので、白質が灰白質に比べて暗く見えます。

 

なぜ脳室が暗くなっているかですが、水を黒くするように撮像しているからなのですが、納得できないかもしれません。この話は難しくなるので、また別の機会にお話することにします。

T2*

T2スターと呼びます。T2*もT2強調画像と同じ特徴を持っていますが、脳全体が白く見えるのが特徴です。出血性の病変があるときに、その部分だけ黒くなるため、脳出血が疑われるときに使われます。

 

DWI(拡散強調画像)

画像全体がボケて見えるのが特徴です。脳梗塞が白く光って見えることから、脳梗塞の診断に重要とされています。そのほかにも悪性の癌が白く写るので、頭部以外の検査でも良く撮像されます。

 

なぜ、脳梗塞や悪性癌が白くなるかは別の機会にお話します。

ブラウン運動を画像化している
細胞の動きが悪くなると白く写る

 

 

 

 

 

 

 

 

どの画像がなんの画像かを判断するのに見るポイントは・・・

➀水が白いのか黒いか
➁灰白質と白質が白いのか黒いのか

の二つです。MRI画像の多くはT2系の画像かT1系の画像です。(拡散強調画像は例外として)

 

しかし、画像を見るときに混乱するのは、水が抑制され、本来白く見えるはずのT2画像なのに黒くみえている場合(FLAIR)やT2では脂肪は黒く見えると思っていたのに白く見えるときです(FSE法で撮影されているときなど)。

 

水や脂肪の白黒では判断できないことが多いので、脳画像では、灰白質と白質を見るのが確実です。

 

・灰白質が白質に比べて、白く写っている➡T2強調系の画像
・灰白質が白質に比べて、黒く写っている➡T1強調系の画像

これだけは予防策として覚えておくといいでしょう。

 

お決まりの動脈瘤と脳梗塞

国家試験では、脳動脈瘤の位置や脳梗塞の場所を答えさせる問題が特に多いです。この二つだけは確実に覚えておいた方がいいでしょう。

・脳動脈瘤

動脈瘤とは文字のごとく、動脈に瘤が出来る病気です。
破裂すると、くも膜下出血を引き起こし後遺症が遺ることもあるので、臨床的にも重要度が高い病気です。そのためか、病院で働くことになった場合、動脈瘤の位置くらいは特定できるようになっておけよというお偉いさんの意図のせいか、まぁ、よく出題されます。

 

出題の形式は、ほぼ同じで、動脈瘤のある血管を答えるものです。そのため、解剖名も覚えておく必要があるので、きちんと復習しておいてください。

 

動脈瘤がある血管を矢印で示してある場合と示していない場合がありますが、矢印がなかったときは、動脈のつなぎ目を探すのがコツです!!

 

そこが、動脈瘤の好発部位と言われていますので、作成者側も典型的な症例のほうが問題として出題しやすいと考えられるからです。ということで、実際に出題された動脈瘤の画像問題を確認していきたいと思います。

 

まずは矢印があるバージョンです!!

 

動脈瘤の有無に関わらず、矢印が指している血管の名前が答えられれば解ける問題です。ということで、上で復習すると、答えは【脳底動脈】となります。

 

で、病名として答えるならば、語尾に瘤という漢字をつければいいので、【脳底動脈瘤】となります。続いて、矢印がないバージョンです。

ご丁寧に、色々な角度からの画像を見せてくれています。
そして、見つけるポイントは動脈のつなぎ目です。そうやって、瘤のある場所を探していくと・・・

ここにありますね!!あとは、血管の名前がわかれば完ぺきです。思い出してみると、横に伸びる血管は【中大脳動脈】です。

・脳梗塞

脳梗塞は脳の血管がいずれかが梗塞(詰まる)という病気で、体に突然の麻痺が見られるのが特徴です。
そして、左に麻痺があれば右に梗塞、右に麻痺が表れていれば左に梗塞があることになります。

 

診断には、DWI(拡散強調画像)が有用とされており、左右非対称に白く光って観察される部位が梗塞部位となります。

 

国家試験で問題が出題されるときは、麻痺症状が左右のどちらかにでて、画像からどこに病変があるのか、診断には何の画像が使われているのかを答えさせるものが大半です。

 

ということは、脳梗塞にはDWIが使われていること、DWIで白く光っているところに病変があるということがわかっていれば、正解に辿り着けるはずです。

 

では、実際に出題された画像を見てみましょう。

 

・64回出題画像

第64回出題

画像を見ると、患者さんの右側つまり画像の左側の基底核部位に白く光っているところがあります。これだけでは、どの血管が梗塞を起こしているのか判断できませんが、この時の問題は脳梗塞の診断に使われている画像がなにかという問題でした。
となれば、答えは【拡散強調画像(DWI:ディフュージョン画像)】です。脳梗塞で診断に使われる問題で、どんな画像が撮影されているかという問題であれば、確実にDWI(拡散強調画像)しか聞かれることはないでしょう。

 

・65回出題画像

第65回出題

このときは、脳梗塞を起こしている血管名を選ぶ問題でした。

まず、考えるのは、梗塞が左右のどちらにあるか?です。DWIを見ると、右側に白く光っているのがわかります。ということは、右の脳動脈のいずれかが梗塞を起こしていると判断することができます。

 

その目で、MRAを見ると、右の中大脳血管が途切れて観察されます。 これが、梗塞を起こしている血管の見え方なので、【中大脳動脈】の梗塞と答えることができます。

 

・66回出題

第66回出題

このときは、脳梗塞のある部位を答えるものでした。
どの血管が梗塞を起こしているかは、確実にはわからないものの、画像上で白く光っている場所を答えろっというものです。つまり、ただの解剖の問題です。

 

ということで、【橋】が答えになります。

 

まとめ

頭部MRI画像問題は、画像の名前と解剖の名前がわかれば、答えられるものが80~90%でしょう。解剖を覚えていれば、なんとか正解に辿り着けることが多いのです。

 

見たことがない病気の画像が出ても惑わされず、病気がある解剖名を答えられれば、大丈夫です。画像と解剖名を一致させるのが、一番の勉強方法かもしれません。