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MRI原理⑭:高速スピンエコーシーケンスとは?

MRI原理⑭:高速スピンエコーシーケンスとは?

MRI検査は、他の検査に比べ時間がかかるのが特徴の一つです。そのため、どうやったら撮影時間を短く、良い画像を撮影できるのかというのが常に課題であるといえます。

 

今回は、その中でも基本的な高速撮像法である、高速スピンエコー法についてまとめてみたいと思います。

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スピンエコー法の問題点とは?

最初に、スピンエコー法とその問題点について簡単に復習をしたいと思います。

 

スピンエコー法の簡単な流れとは、

➀90°RFパルスの印加(横磁化の発生)
➁プロトンの位相がバラバラになりながら緩和現象が起こる(横磁化が小さくなり、縦磁化の増加)
➂180°RFパルスの印加
➃MR信号

となり、➀~➃を位相エンコード方向分だけ繰り返すことで画像を作り上げています。

そして、90°RFパルスから次の90°RFパルスまでの時間をTR(繰り返し時間)といい、MR信号を得るまでの時間をTE(エコー時間)といいます。

 

スピンエコー法の利点は、MR信号を得る前に180°RFパルスを印加することで、磁場の不均一性を打ち消せることです。磁場の不均一は画像の歪みとなって表れてしまうため、その影響をなくすことができることは、画質の良さに直結しています。

 

つまり、180°RFパルスを使用するようなスピンエコー法は磁化率の変化に強い撮像法といえます。

 

しかし、スピンエコー法には決定的な問題点があります。

 

それは、一枚のMR画像を得るのに時間がかかることです。

 

スピンエコー法という撮像法の特性上、90°RFパルスを印加して、横磁化を作り、そしてTE/2時に180°RFパルスを印加しTE時間後にMR信号を得たのち、縦磁化が完全に回復するまで待ってから次の90°RFパルスを印加する方法です。

 

MR信号を得てから、縦磁化が回復するまで何もすることなく待つため、一回のTRで得られるMR信号は、自ずとひとつだけになります。

 

では、撮像時間を短くするためにはどうすればいいのか。

 

簡単です。撮像時間に関わる因子のパラメータを減らすだけでいいのです。そんなわけで、以下に撮像時間に関わる重要な3因子を上げたいと思います。

・撮像時間を決めるパラメータ

➀TR
➁励起数(画像SN比を向上させるために、何回測定を繰り返すのか)
➂位相エンコーディング数

 

この3つのパラメータが大きい値であればあるほど、撮像時間はかかり、逆に値を減らせば、短時間の撮像が可能となります。高速の撮影を行う方法とは、決してひとつだけではないのです。

 

例えば、以前にまとめた、グラディエントエコーシーケンスはTRを短縮することで高速撮像を実現している方法です。

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高速スピンエコー法(FSE法)とは?

では、高速スピンエコー法とは、どのように高速撮影を実現している方法なのでしょうか。

 

高速(fast)スピンエコーシーケンスは、基本的には90°RFパルスと180°RFパルスを使用する通常のスピンエコーシーケンスですが、大きく違うのは、一度のTR間で、何度も180°RFパルスを印加する点です。

 

スピンエコー法では、90°⇒180°⇒90°⇒180°・・・という順番でしたが、高速スピンエコー法は、90°⇒180°⇒180°⇒180°・・・⇒90°⇒180°⇒・・・といったような感じになります。

 

では、一度のTR中に180°RFパルスを何度印加するとどのような効果があるのでしょうか。

 

それは、一度のTRで一つのエコー信号しか得られないのではなく、一度のTR中に多くのエコー信号を作成し、収集することができ、そこで得られた信号をk空間の別々のラインに書き込むことで、時間の短縮を行っているのです。一度に多くの信号を埋めることが可能ということです。

 

例えば、90°RFパルス後に5個の180°RFパルスを使うと、1回のTRで、5つのエコーが得られ、k空間の5行を埋めることができます。結果的に、k空間を埋める時間が5分の1になり、撮像時間が短くなるのです。

 

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この1回のTRの間に作られたエコーの数を”ターボファクタ(TF=turbo factor)”または”エコートレインレングス(echo train length)”と呼ばれています。

 

ただ、ここで2点覚えておく必要があります。

 

1つ目は、高速スピンエコー法では、一度のTR中に180°RFパルスを何度も印加しますが、その時の位相エンコーディング傾斜磁場はそれぞれ異なるということです。

 

位相エンコーディング傾斜磁場は、得たエコー信号をk空間のどの行を埋めるかを決める因子です。毎回の180°RFパルスごとに同じ強度の位相エンコーディング傾斜磁場を使用してしまうと、k空間の同じ行に信号が埋まることになります。

 

それでは、時間は短縮することになりません。異なる信号を別々の行に埋めるからこそ時間を短縮することが可能なのです。

 

もう一つは、1回のTR中に得られる信号強度は、時間がたったものほど段々と弱くなっているということです。

 

90°RFパルスによって作られた横磁化は、緩和曲線に従って、時間とともに減衰していきます。しかし、横磁化の大きさは、180°RFパルス後に得られるエコー信号の強度に比例しているため、緩和が進むほどにエコー強度は弱まることになってしまうのです。

 

よって、高速スピンエコー法により得られた画像は異なる強度のエコー信号によって作られている画像ということになります。

 

このことから、k空間のどの行にどのような強度を持った信号を埋めるのかも重要です。

 

なぜなら、k空間の中央は画像コントラストを決定し、外側のラインの信号は画像の空間分解能を決めるからです。MRIという検査は画像コントラストが優れている検査であり、その部分が求められる検査です。ということは、強い信号はどこに弱い信号はどこに埋められるか想像できるでしょうか。

 

そうです!!

 

重要視される画像コントラストを決定するk空間の中央には、信号強度が大きいエコーが埋められることになり、弱い信号はk空間の外側に埋まっていくことになります。

 

そして、k空間の中央を埋める信号を得られたときの時間を実効TEと呼ばれています。画像の全てを握る信号がk空間にいつ埋められたかを重要としているようです。

 

当然と思われるかもしれませんが、高速スピンエコー法は、撮像時間を短縮するという利点がある一方で、欠点もあります。

 

その一つが画像のボケです。

 

エコートレインが長い場合、非常に遅いエコー信号の強度はかなり低下しています。その低下している信号もk空間の外がを埋めるの使うため、自ずと空間分解能が低下してしまうのです。

 

また、180°RFパルスは磁場の不均一をゼロにするため、出血のような磁場の不均一をもたらす病変に対しての描出能が低いことも挙げられます。病変によって磁場の不均一が起こっていても、気づきにくいということになります。

高速スピンエコー法のコントラスト特徴とは?

高速スピンエコー法によって、得られた画像コントラストは通常のスピンエコー法による画像とは明らかに違う点があります。

 

どのような違いかというと、T₂強調・高速スピンエコー法では、水と脂肪が特に明るく描出されるということです。

 

これは、Jカップリング効果によるものなのですが、これは物理的説明が難しすぎるので、省略いたします。

 

とにかく、高速スピンエコー法では、繰り返し180°RFパルスを印加し、Jカップリングという相互作用に影響を与えるために画像コントラストは特有のものとなるということ。

 

そして、影響を受ける代表的な組織として、水と脂肪が挙げられ、普段のスピンエコーによるT₂強調画像では暗くなる脂肪であっても、高速スピンエコー法では、脂肪は明るく(白く)描出されていまうということです。

らどちゅー

放射線に携わるお仕事をさせてもらっています。 経済情報を読んだり、読書が趣味と、 まぁインドア派の典型です。 そんなんで、毎日助けてもらっています。

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