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腎シンチとは?

腎シンチとはシンチグラフィー、つまり体内に放射性医薬品(RI)を投与して行う核医学検査の一種です。

 

検査内容は、大きく分けて2つを指します。

 

1つは腎臓の位置や大きさ、病変部位などの腎臓のかたちを調べる検査(腎静態シンチグラム)

 

もう1つは腎臓への血の流れや、ろ過能力などの腎臓のはたらきを調べる検査(腎動態シンチグラム)です。

 

ただ、現在、腎シンチと言えば、腎臓の働きを調べる腎動態シンチグラムを指すことが多いようです。

腎臓の位置や大きさなど形態を調べる検査は、CTやMRIの精度が高く成って必要性が薄れ、核医学検査の真骨頂である機能を調べる検査のほうが主流に残っているのかもしれません。

 

ということで、今回は腎動態シンチグラム・レノグラムについてまとめてみたいと思います。

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使用薬剤は?

使用される薬剤は、2種類です。

・99mTcーMAG3

糸球体で濾過されかつ尿細管からも分泌されることから、その挙動から有効腎血漿流量(effective renal plasma flow, ERPF)を推定できる。

 

・99mTc-DTPA

糸球体で濾過されるが、尿細管からは分泌されず再吸収もされないので、その挙動から、糸球体濾過量(glomerular filtration rate, GFR)を推定できる。

 

2つの薬剤に共通することは、腎から尿となって排泄されるため、その排泄の様子を捉えることで、シンチグラフィー(腎の形態診断)とレノグラム(腎時間放射能曲線による腎臓の機能)検査を同時に行えることです。

 

ただ、

・99mTcーMAG3⇒有効腎血漿流量(effective renal plasma flow, ERPF)
・99mTc-DTPA⇒糸球体濾過量(glomerular filtration rate, GFR)

と、同じ腎機能検査でも、求める値の種類が違うことを認識しておく必要があります。

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どんな場合に行う検査なの?

➀閉塞性腎疾患や腎血管性高血圧症、腎腫瘍などにおける分腎機能評価や治療後の経過観察

➁移植腎の機能評価

➂利尿剤を負荷して検査を行う利尿レノグラフィでは、尿路系の拡張が器質的な閉塞によるものか、機能的なものかの鑑別

検査の流れは?

この検査では、投与した薬剤が尿となって排泄されなければ、終わることができません。

 

なので、利尿を促すために検査20~30分前に、水を飲む必要があります。(前処置)

 

また、検査時間が長く、利尿を促す検査のため事前に膀胱内に尿が溜まっていると、検査中にトイレに行くことを防ぐために一旦、排尿してから検査室に入室します。

 

この後は検査室に入った後のことを順を追って説明します。

➀検査室入室後、検査台に仰向けになって寝ます。

ただ、腎臓は背中側にあるため、検査カメラは背中から腎臓からでる放射線を収集してます。

 

➁99mTc-MAG3を静脈から投与。(投与量は体重に応じて変化)

 

➂投与直後から20~30分間、腎臓から膀胱にかけて連続撮影。
この連続撮影した画像から腎機能を計測するためのレノグラム曲線を描きます。

 

***ここからは必要に応じて***
腎機能が正常な場合は、➂まで行えば終わることが出来るのですが、腎機能の低下や尿菅の閉塞見られる場合には、追加で負荷検査というのを行う必要があります。

➃利尿負荷検査
利尿負荷検査では、2種類あります。

 

・カプトプリル負荷検査
コントロール検査(負荷をかけないで行う検査)と負荷をかける検査の2回に分けて実施する方法。
放射性医薬品投与1時間前にカプトプリル(25~50㎎)という薬を、経口から飲む。
すると、腎血管性高血圧のように片側の腎血流が低下する病気では、負荷後のレノグラムの検査で、患側腎臓の機能低下がより顕著に現れる。

 

・フロセミド負荷検査
放射性医薬品投与10~15分後に利尿剤であるフロセミド(ラシックス(一般的に良く使われる商品名)20mg)を投与する。
腎機能が低下すると閉塞型のレノグラムを呈することがあるが、利尿剤の負荷によって排泄が見られたならば、閉塞がないと判断できる。

解析方法と定量方法

この検査の解析と診断には、必ずレノグラム曲線というものが必要です。

 

静脈から投与された放射能は、まず腎臓に集まりその後膀胱へと排泄されていきます。

 

その様子を画像化し、左右それぞれの腎臓の放射能の排泄に関心領域(ROI)をおきその変化を数値化します。

 

その計測した数値から、腎臓の時間放射能曲線(TAC)を描くと、下の図のような曲線が得られます。これをレノグラムといいます。

 

レノグラムは、正常、閉塞、機能低下などでその様相を変化させるのが特徴です。

どんあ画像になるの?

水腎症の場合
右の腎臓の放射性医薬品の排出が遅い

他の検査との差別化

この検査最大の特徴は、腎機能を数値化して評価できるところです。

 

 

腎臓から膀胱までの流れを見る検査では、腎尿管膀胱像検査やCT、MRI検査がありますが、いずれもある時間を撮影したもので、その形態を調べることが主なところになっています。

 

左右の腎臓をそれぞれ機能を数値化するというのができるのは、放射線系の検査では、この核医学検査だけなのです。