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ペースメーカーとICDはCT検査で誤作動を起こすかも?!

ぼくは、学校の授業で習った覚えはないのだが、病院で働くと、ペースメーカーとICDは、検査時にとても重要な要因として、取り扱われています。

 

「MRI検査は絶対にできない!!」とは習ったが、CT検査でそんな話聞いたことがなかったのです。

 

きっと、CTの場合、検査自体をすることができるからなのかもしれません。

 

が、ついうっかりで済む問題ではないので、しっかりと覚えておきたいし覚えていただきたい。

 

なぜなら、CT検査でペースメーカーとICDは誤作動を起こすというのだから・・・

コワイですよね。

 

一体どういうことか、まとめてみました。

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ペースメーカーとICD

本題の前に、少しだけ、ペースメーカーとICDについて知ろうとおもいます。

 

この二つ、姿形はとても似ているが、役割が全く違うのです。

・ペースメーカーとは?

ペースメーカーとは、心筋に電気刺激を与えて、必要な心臓収縮を起こすためもので、徐脈を起こすような疾患が対象に植え込まれる。
その主な動作は、ペーシング(刺激)とセンシング(検知)です。
ペーシングとは、患者さんの自己脈が設定した脈数より少ない場合に、電気刺激を与えて、脈拍を増加させる働きのことです。
一方、センシングとは、自己脈が設定した脈数より多い場合に、脈拍を抑える働きをいいます。

 

・ICD(植込み型除細動器)とは?

ICDとは、心室頻拍や心室細動など死に関わるような頻脈を検知し、電気刺激を与えることで、心臓を正常な動きに戻すためのものです。

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CT検査で起こす誤作動とは?

では、本題です!!

 

ペースメーカーとICDにCT検査時にどんな誤作動を起こすのでしょうか?

 

それが、部分的なリセットとオーバーセンシングです!!

 

・部分的リセット
メドトロニック社製品立込み型ペースメーカーでのみ起こる誤作動。
設定されていたプログラムが一律に安全モードとして刺激電圧 5V、パルス幅 0.4ms、刺激頻度 65bpm に継続的に固定される(リセット)現象。
本来は、強い電界が加わった時に起こる、安全性を確保するための機能であったが、5V程度の刺激では対応できない状況が稀にあるため、危険視されています。

この部分的リセットは、特定のペースメーカーにのみ起こる誤作動のため、埋め込まれているペースメーカにのみ注意していれば、問題ないといえるかもしれませんが、オーバーセンシングは全てもペースメーカーとICDに起こり得る誤作動です。

 

そのオーバーセンシングとは?

 

・オーバーセンシング
ペーシングの抑制が過剰に行われる現象のことです。自己脈以外の電気的信号を感知した場合に発生します。
オーバーセンシングの間はペーシングが行われないため、脈拍がなくなることになり、非常に危険な状況にさらされることになります。

 

なんで起こるの?

そもそも、この二つの誤作動はなぜCT検査で起こるのでしょうか?

 

CT検査では、幅の広いX線(X線束)を使い検査しています。

このX線束がペースメーカーやICDの本体部分に連続的に照射されることで、光電効果が発生します。(電子が発生する)
光電効果による不要な電流が、心臓の電気的興奮現象を感知(センシング) するための心電図増幅回路で増幅され、ペースメーカーのセンシング回路の閾値を越えることでオーバーセンシングが起こるものと考えられています。

この現象はリード線(ペースメーカーから電気的刺激を心臓に伝える導線) 上へのX線照射では発生しないことが確認されています。

 

簡単にいうと、X線が長時間照射されること原因で起こる誤作動ということです。

 

そのため、X線CTだけでなく、バリウム検査のような透視装置を使用した検査でも同様なことが起こる可能性があることになります。

 

ただ、オーバーセンシングに関しては、X線照射が5秒以内であれば、誤作動を起こす可能性は少ないと言われています。

そして、現在のCT装置では、ペースメーカーとICD本体に5秒以上、X線が照射されることはほぼありません。

どんな対応がされているの?

現在使用されているCT装置では、5秒以上、X線が照射されることはほぼありませんが、誤作動の可能性が否定できない以上、対応策は必要になります。

 

最も行われる対応は、ペースメーカーとICDを避けて撮影することです。

 

機器本体部分に、X線を照射しなければ誤作動を起こすことはないため、一番安全な方法といえるでしょう。

 

ただ、救急を要する場合や診断に必要な場合には、X線束を照射することもありますが、それでも、短時間しか照射されないため、誤作動を起こす可能性は少ないといえます。

 

照射された場合でも、ペースメーカーやICDを再設定することで、その後のリスクを減らすことも可能なので、安心していいでしょう。